B-Future News 2015年9月号

カーペット清掃計画

予防が大切なのは風邪に限ったことではありません。カーペット清掃でも同じことが言えます。

サニタリーメンテナンス誌2013年11月/12月号のカサンドラ・カニア氏の記事『Building A Complete Carpet Cleaning Program』を抜粋します。

===抜粋ここから===

完全なカーペット清掃計画を立てる

カーペットのメンテナンスは、カーペットの外観や寿命を最大限引き伸ばす。ゆえに作業者は洗剤の希釈方法や機材の操作法に熟練していなくてはならない。

予防的メンテナンスが最優先事項である。カーペットケア用品や機材を買うことはその次に優先すべき事項である。カーペットの扱いに失敗してしまうのは、多くの場合、プランを立てず、外観が良い状態でなくなって初めてきれいにしようとするが、その時にはきれいにすべきタイミングを逸しているのだ。

1.      バキューミングbfnews_201509_2

ビルサービス業者と清掃部門が購入するもので一番重要な物を一つ挙げるとしたら、おそらくバキュームクリーナーである。いいバキュームクリーナーはカーペットに堆積した汚れを90%以上除去すると言われる。汚れを除去することはカーペット清掃計画で重要な工程である。

汚れ除去、ダスト回収力、およびカーペットの外観の変化に対する認証プログラムでカーペット・ラグ協会が認定した商品を購入するよう、販売業者はお客様に薦めている。昨年はエネルギー効率を得点化したものも、このプログラムに導入された。

直立型のバキュームクリーナーか、バックパック型のバキュームクリーナーか。業界の意見は未だ2つに割れている。

例えば、長い廊下があるホテルでは直立型がふさわしく、一方、複数のキュービクル(各自の机を壁で仕切った半個室)があるオフィスではバックパック型が適切だ。

フィルターに関して言えば、販売会社はエンドユーザーにHEPAフィルター付きバキュームクリーナーを薦めている。

2.      シミとり

英語で、付いてから間もないシミはスポット、付いてから時間が経ったシミはステインと呼ぶ。もし液体状の汚れが付いてすぐに対応できたのなら、恐らく水だけでそのスポットの除去が可能だ。しかし頑固なステインであれば、様々なタイプの汚れに効くように各種のケミカルを含んでいるシミ除去キットを使う必要があるだろう。

最新の傾向は過酸化水素由来の製品だ。というのも、過酸化水素由来の商品であれば使い過ぎたとしてもカーペットにその残留物を残して新たな汚れを作ってしまうということはない。

コーヒーやお茶などタンニンのステインに対して過酸化水素はとても効果的である。また、良いシミ取り剤には油脂・ペイント除去剤も含まれているはずだ。加えて、食品や尿、血液などの有機ステインを取り除く洗浄剤や、ワインやジュースのステインを除去する除去剤もある。シミを除去する道具の一例として、硬いナイロンブラシが挙げられる。このブラシを用いてカーペットを叩いて溶液を浸透させ、白のテリー織のタオルで吸い取るのだ。

3.      中間清掃

本格洗浄(ディープクリーニング)をするまでの間のカーペットメンテナンスとして、エンドユーザーには様々な選択肢がある。例えば、ボンネットクリーニング、もしくはカプセル洗浄や吸収性化合物などの低湿メソッドのメンテナンス法などが挙げられる。

広範囲にカーペットを敷きつめたエリアではカプセル洗浄すると良い。

バキューミングと本格清掃との間隔を埋めるため、カーペット・ラグ協会の認定プログラムは中間メンテナンスシステムの新たなカテゴリーを導入した。この新たなメンテナンスの決まりを導入することでお客様に情報を伝えることが出来、中間清掃で使うマシンを購入する際、正しい選択が出来るようサポートが可能だ。

中間メンテナンスシステムとは、カーペットの見た目が良くなっているかどうか、またカーペットやカーペットの繊維に有害な結果が現れていないかどうかを確認するためのテストである。汚れの再発、蛍光増白剤の有無、耐変色性を確認し、洗浄ケミカルのpHレベルを決定する。

極端に酸性もしくはアルカリ性のケミカルは、染料やある種のカーペット繊維に影響を与えてしまう。カーペット洗浄の際、より中性に近いケミカルはより安全であると考えられている。標準的なpH測定器を使って希釈された溶液をテストするとよい。

再度汚れが付いてしまう第一の理由の一つに、中間メンテナンスシステムが上手くいっていないことが挙げられる。

汚れの再付着がたいてい失敗の要因だ。つまりケミカルが汚れの再付着の原因になるのだ。なぜならカーペットに沢山の残留物が残るからだ。

4.      エクストラクションbfnews_201509_3

中間清掃では、トラックマウントユニットから持ち運び可能なマシンまで、様々な種類のエクストラクション清掃機材を利用できるが、簡単に使用が可能な持ち運びタイプのエクストラクターが使いやすい。

自家貯蔵温水エクストラクションマシンや、エクストラクションウォンドが付いたマシンも仕事効率が高く効果的だ。

カーペットエクストラクターにとって水回収は重要な機能のうちの一つであり、注目すべきポイントだ。エクストラクターを使用後、どれくらいの汚れをカーペットから取り除くことができたか、また水がカーペットにどれくらい残っているか、カーペット・ラグ協会のエクストラクタープログラムでは計測している。

カーペット・ラグ協会の本格洗浄(ディープクリーニング)システムプログラムで認められた本格洗浄マシンの購入を販売業者は薦めている。本格洗浄プログラムには、エクストラクタープログラムと同じ基準が明記されている。また本格洗浄システムでは、溶液タンクに使用するケミカルとプレスプレーケミカル(前処理剤)を対象にしたテストにも受からねばならない。

5.      乾燥

本格洗浄に続いてカーペットが再び汚れるのを防ぐために、出来るだけ速やかにカーペットを乾かす必要がある。スリップや転倒事故防止のためだ。

適切な換気、そしてエアムーバーの使用、またはカーペット扇風機の使用でこの乾燥のプロセスを速められる。ステインに直接風を吹き付ける機器や施設全体に空気を行きわたらせるマシン、または除湿器等、様々な選択肢がある。

カーペットの表面に空気を押し出し、床に沿って空気を移動させるマシンは乾燥を促すのでお薦めだ。

カーペットケアの段階ごとに適切な説明とツールで臨めば、カーペットケアプログラムを成功させてカーペットだけではなく機材の寿命も伸ばせる。

清掃とは単なるイベントではない。うまくスポットを取り除き、バキューミングし、中間清掃を行い、定期的なディープ洗浄を行うことを含む一連のメンテナンスプログラムのことだ。これを実施したのなら、商品が設計された通りの寿命を全うできるだろう。

===抜粋ここまで===

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