B-Future News 2016年12月号

フィニッシュの基本と上手くいかない原因

今年も残りわずかとなりました。現場作業で多忙を極めている読者の方もおられるかと思います。時間が無い中、最短時間で最大の効果を上げることが肝要です。しかし、『メンテナンス不要』というような売り口上に惹かれたのに、最終的にメンテナンスに四苦八苦することになっては元も子もありません。

フィニッシュに関する話題で興味深い記事がありましたので引用いたします。
(ウェブサイトCleanLink『Eight Ways To Improve Floor Finishing』、『Urethane Seals Versus Water Based Floor Finishes』『Steps in Applying Floor Finish』より引用しました。)

===引用ここから===

床のフィニッシュ塗布の技術向上のための7つの方法

  1. 剥離する床をしっかり乳化するために使用する剥離剤と水が、正しく混合されていないのかもしれない。フィニッシュの塗布開始前に、完全かつ徹底的に床の剥離が行われていないようだ。
  2. 剥離とスクラブ洗浄の2つの主な違いとは、使われるケミカルとフロアパッドの違いである、ということを忘れないこと。
  3. 剥離するにはpHが高数値(10-13)の製品が必要である。このような剥離剤を使って床に塗布された水由来のフィニッシュやシール(下地剤)の乳化ができる。製品の推奨接触時間(大抵5分(ラベル参照のこと))の間ずっと濡れた状態を保った後、通常黒パッド*が必要である。
    (*ビーフューチャー注釈:ニンジャパッドも使えます。)
  4. スラリー(混濁液)を完全に取り除くこと。(ウェットバキュームを使用するとよい。)bfnews_201612_7
  5. 次のステップは、全てのフィニッシュが除去されたか、確認することである(目視による確認/手で触れて確認)。多くの床にはへこみやくぼみがあり、この部分は手作業が必要となるかもしれない。
  6. 必要に応じて、どのくらい強い濃度で製品を混合するかメモを取りながら、再度床の剥離を行う。割合は4:1かもしれない。もしくは水の硬度やその他の要因により、3:1の割合が必要になるかもしれない。
  7. 点検する。床に粉化もしくは不完全なフィニッシュの除去跡がある場合は、フィニッシュや下地剤を塗布しないこと。

ウレタンのシール(下地剤)VS水由来のフロアフィニッシュ

悪気なく間違った工程で床の剥離を行おうとしている作業者に良く出くわすが、それは床に何が塗布してあるのか、どう作業を進めるべきなのかが分かっていないのだろう。

残念なのは、この問題の原因が、『永遠』のシール(下地剤)があり、『剥離やバフィング等が全く必要ない』と言って、善意の気持ちでその販売業者が商品や工程を宣伝することにある。このような業者はおそらく不完全なトレーニングやサポートを提供し、その会社が販売促進している新たな製品を次々勧め続ける。実際のところ、このような類の商品の多くは、床が正しく剥離され、中和され、再塗布前に準備されるという理想的な状態のもとでは大変上手くいく。実際の塗布では、エンドユーザーが理解したと販売業者が思い込んでいる塗布システムにより、塗布するのにとても特殊なモップが必要になるのかもしれない。

bfnews_201612_8言うまでもなく、エンドユーザーは理不尽な時間的な制約に縛られていることが多い。床を使える状態に戻したいと考えても、製品の定着・持続が保証されるために必要とされる時間、つまり乾燥や硬化、加えて換気も考慮した充分な時間を取ることが許されないのだ。たいていお客様は床の『ワックスとバフ』を要求する。(1965年の技術で考えると、)それはつまり水由来のフロアフィニッシュはpHの数値が高いアルカリ性の剥離剤で除去する必要がある、と言うことを意味する。もしくはまだ状況が良い方であれば、ブリーチ(漂白剤)もしくはその他の洗剤を使って床のモップ掛けが必要になるかもしれない。結果はたいてい同じである:最悪なのだ。(『永遠』と称される)これらの製品の説明書きには、多くの場合、中性洗剤のみ(目安としてpH7.5~8.0)使うことを推奨しており、これを守らなければ保証の対象外としている。つまり、非難が最高潮になるのも時間の問題なのである。

ケミカルとツールを正しく使う際にキーワードとなるのはプロセス(一連の工程)である。

フロアフィニッシュを塗布する手順

  • 必ず作業エリアを立ち入り禁止にし、必要とされている看板を床に立てること。bfnews_201612_6
  • フィニッシュの安全性を守るため、モップバケツが必ず清潔な状態であること、あるいはプラスチックバッグ(ビニール袋)もしくはプラスチックライナー(プラスチックの容器)の準備を検討すること。
  • 前もって決めた場所から、下地剤を塗布するエリアを描く。その際、最初の層の塗布は幅木(ベースボード)から6インチ~9インチ(24cm~22.86cm)離すこと。この最初の層は2層目、3層目、4層目と比べて厚くするべきである。もし、停止灯を使っているのなら15フィートから25フィート(4m57cm~7m62cm)ごとの間隔で赤い点(とても小さいもの)を付けた方が良かったかもしれない。そうすることで、バフィングを行う工程や人通りがある場面で、裸床の所に近付いたことを気付かせてくれるからである。
  • 1層目と2層目の塗布に際し、乾燥(硬化/換気)のための時間を充分に取ること。次の層を早く塗布しすぎると水分を閉じ込めてしまい将来粉化や他の問題の原因となるからである。
  • 最初の塗布工程を繰り返す。しかし最初の層よりも毎回薄くすること。また、幅木から6インチ~9インチ(24cm~22.86cm)離すのを忘れないこと。
  • 4層目と最後の層を注意して幅木まで塗布する。その際幅木にフィニッシュを付けたり端や側面にフィニッシュを堆積させないこと。

乾燥に充分時間を掛けることができたら、モップヘッドやフィニッシュ(モップ)を洗う。あなたが仕事を成功に導いているのだと知るよりよい機会である。一般的な経験則から言って塗布する層が多いほど、光沢が深くなり、床がもっと丈夫になるのだ。

===引用ここまで===

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