B-Future News 2016年11月号

殺菌の基礎知識

アメリカで幾つかの抗菌石鹸が販売禁止になったことが、今年9月の初めにニュースで報じられました。耳にされた方も多いでしょう。報道内容によれば、アメリカ食品医薬品局(FDA)がトリクロサンなどの成分を含む一部の抗菌石けんやボディソープなどを「通常の石けんより殺菌効果が高いという根拠がない」として、販売禁止にすると発表したとのことです。

言うまでもなく、殺菌は清掃活動においても重要な関心事です。(殺菌)消毒と清掃活動に関連して興味深い記事がありましたので引用いたします。
(ウェブサイトCleanLink『Disinfecting Against Antibiotic-resistant Bacteria』より引用)

===引用ここから===

抗生物質も効かない病原菌を(殺菌)消毒して駆除する

適切な(殺菌)消毒は清掃というパズルの構成要素として大切な1ピースである。特に医療施設ではそう言える。抗生bfnews_201611_3-1_web物質に対して抵抗力のある(スーパーバグとしても知られている)細菌感染や病気の発生率は上昇しており、世界的な公衆衛生上の主な脅威として取り上げられている。このような状況下、人々の安全と健康を保つ(殺菌)消毒のための清掃/衛生商品を販売する業者は、重要な役割を担っていると認識されている。

「薬に対して抵抗力がある有機体bfnews_201611_3-2_webが現れています。一度その有機体が発生してしまった場合、より優れた清掃と(殺菌)消毒によってでしか、その有機体の発生を抑制したり予防したりすることは出来ません。」『誰にでもわかる感染予防(原題“Infection Prevention for Dummies.”)』の著者であるダレル・ヒックス氏はそう指摘する。

結果として販売業者は、感染の拡散抑止を通じて人の命を救うのに貢献するという、明瞭な機会を与えられている、と言える。

「院内感染を減らして命を救うために、私たちは重要な役割を果たしています。私たちのような会社にとって、それはワクワクすることなのです。」ボルチモアにあるアクメペーパー&サプライCo.,INC.の副社長のスティーブ・アットマン氏はそう答えている。同社では多くの救急処置と長期ケア施設に対してサービスを提供している。「誰でも製品を発送することは出来ますが、販売業者の差別化を図るには、付加価値をつける能力が必要なのです。つまり、お客様が質の高い清掃方法を導入できるようにするため、私どもが教育やトレーニングの機会、専門知識の提供を行い、差別化を図るのです。」

教育とは、例えば、洗剤の浸け置き時間や駆除すべき細菌について、お客様が理解を深めるお手伝いをすることが、販売業者が出来る最も重要な事項の一つであると、アットマン氏は付け加えている。

浸け置き時間とは何か?

浸け置き時間は、コンタクトタイム(接触時間)とも言われるが、製品が病原菌や微生物を殺すために必要とされる時間のことで、製品ラベルに記載されている。長年、殺菌剤の標準的な浸け置き時間は10分間であると言われてきた。しかし、製品によってはこの10分という浸け置き時間では、いくつかの理由で現実的ではない。そうヒックス氏は言う。

科学的な研究によれば、60秒の浸け置き後、5対数の減少(=表面から微生物が99.99%減少)で頭打ちになった。そうヒックス氏は言う。また、10分もの間濡れたままの状態に保つことは、特に垂直面では、ほぼ不可能である。

「科学と現実の間で、本当に板挟みに陥るのです。」そうヒックス氏は言う。「現実の世界で皆生きて仕事をせねばなりませんが、科学と殺菌剤のラベルに記載された必須項目を私たちは扱わねばなりません。」

しかし、多くの塗布の場面において、10分間の浸け置き時間が固く信じられていた時代は終わりを迎えつつあるようだ。医療施設の清掃において、時間がカギだ。つまり、手術室や病室では、すばやく引きわたす必要がある。だから、殺菌は簡単で効果的である必要がある。ケミカルメーカーは、今日求められる有効性と労働効率の必要性を鑑み、5分以下で、また製品によっては5分を大幅に下回る時間で作用する殺菌剤を製造し、ニーズに応えている。

ペンシルバニア州ワーミンスターのフィリップローズナー社で、セールスマネジャーを務めているジョン・トーマス氏によれば、ケミカルの成分は今まで以上に素早く作用するようになっている。つまり短い浸け置き時間でより素早く殺菌ができるようになっている。

トーマス氏曰く、「殺菌時間が60秒もしくは30秒の製品も中にはあります。病院は特に浸け置き時間が短い殺菌剤に関心があるようです。検査の際、製品のラベルの記載を守りやすいので助かるからです。」

すぐに乾いてしまうので10分間の浸け置き時間が現実的ではない場合でも、可能な限り、ラベルに記載の浸け置き時間と差がなるべく出ないように、お客様には製品を使って頂くべきであると、トーマス氏は言う。表面にある時間がより長いほど、より効果的であるからだ。

===引用ここまで===

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